Trackerもといオーディオモジュールトラッカーの2018/7/1時点での話

はい。
Trackerもしくはトラッカー、正式にはオーディオモジュールトラッカーについての話です。シノニムというか同義語でサウンドトラッカーやミュージックトラッカーがあるようですがどれ使えばいいんでしょうか。
古くはAmiga時代から存在するオーディオモジュールトラッカーですが、エフェクトコマンドの拡張によりその存在感が露わになったのはFastTracker2以降ではないかと思っています。面倒なのでトラッカーと略します。

原典や英語版WikipediaのTrackerの記事についてまだ当たってないので適当に分類しますが、(っていうか誰も和訳していないのか、意外だ)
第一世代(初期Amigaなどで開発された型)
Music tracker - Wikipedia
第二世代(FastTracker 2クローン群)
Fast Tracker、ProTracker、Impulse Tracker、Fast Tracker2クローン群(OpenMPT、ModPlugTracekr、MadTracker、Schism Tracker、Milky Tracker、BeroTrackerなど)
第三世代(モジュラーシンセサイザーによる仮想スタジオ導入型やVirtual Studio Technology導入、マルチシーケンス及びパターンマトリクス、マルチトラック編集導入型、もしくはBuzz-like)
Renoise、Jeskola Buzz、PicaTune2、Radium、Aodix、SunVox、Jeskola Buzz-like(Psycle、Violet Composer、Buzztard、BuzzTrax、Buze'、Aldrin)

チップチューン用途特化
FamiTracker2、klystrack、DefleMask、Trilo Tracker、OctaMEDなど(後者2つはエミュレーション上で動作)
に分けられているようです。

常日頃思ってるのですが、トラッカーの特徴は、あの独特な表計算ソフトの画面を思わせるパラメータのパターン群の操作にあります。
長所は複数のパラメータを俯瞰でき、同時に操作する変態的な音作りが可能なことにあると私は思っています。FastTracker-likeなエフェクトコマンドを複数直打ちすることによる音の変形、加工が楽しいです。言うても複数のオートメーションで通常のDAWで可視化できなくもないのです。

短所はノート(音符)の可視性が悪く、リズムやBPM、音階やスケールを明示的に示せず、見えてこないことにあります。まあ、メモ欄に書き込むことが出来ないでもないし、パターン欄に記述できなくもないトラッカーもありますが。
また、MIDI(第2世代は限定的に除く、第3世代は除く)やVitual Studio Technologyとの相性も悪く、CubaseやBandLab Sonarでは対応できるドラムの打ち込みにも上手く対応できなかったりします。
同時に、ほとんどのトラッカーがオートメーションによる可視化ができないです。midiほど精度の高いベロシティの打ち込みやオシレータの操作ができません。オシレータの非常に細かい操作が必要なダブステップなどでは致命傷に近いです。しかし、ダブステップのベース音だけ他のDAWで録音して使い回すなどすれば使えなくもないです。

BeroTrackerとPicaTune2は作ってる人が同じですね(Benjamin Rosseaux氏)。
PicaTune2はRenoiseと肩を並べるくらい拡張性が高い印象を受けますが使ってる人を見かけたことがないです。
Aodixと、Psycleの基礎系を作ったのはかの有名なArguru氏です。Jeskola Buzzのプラグイン、machineにも幾つか投稿が為されています。
OpenMPT、Mod Plug Trackerの和訳された日本語版からトラッカーに触り始めた人も多いのではないでしょうか。
Radiumはクロスプラットフォームで稼働します。マルチシーケンスな上、パラメータのオートメーションが可視化できます。アップデートも頻繁に行われているので非常に有望なトラッカーではないでしょうか。
FamiTracker 2は.nsfを出力できるのでチップチューン用途では扱っている方も多いのではないでしょうか?

まあ私が使い込んでるのはOpenMPTとJeskola Buzzだけなので、確かなことは言えないのですが、今の所の体感と認識はこんな塩梅です。
気力がある時に和訳とかやろうと思います。